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健康力を高めたい

健康力を高めたい

ヘルスツーリズム

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海洋療法(タラソテラピー)を使った健康増進とヘルスツーリズムへの活用

海洋療法(タラソテラピー)は、海に関わる環境を健康のために活用する療法です。ギリシャやフランスなどヨーロッパを中心に行われていましたが、奄美大島の奄美市や沖永良部島の和泊町には専用の施設が作られ、地元住民や観光客の心身の健康増進の場になっています。この施設では、室内の33℃の温海水中で運動やバブルを浴びながらの休息などができるようになっています。

 施設が作られた当初に、住民や島外から来島して頂いたモニターの方々を対象に、海洋療法の医学的効果について検証しました。

住民では、高血圧や耐糖能異常、高中性脂肪の改善に加え、転倒予防能力の向上や不安や不眠の改善など心理面での効果も認められた。また、膝の関節痛の軽減にも効果がありました。その背景として浮力の大きい温海水中で下肢の運動制限が軽くなり、下肢筋力をつけるのに効果的であったことが考えられました。実際、下肢の筋力と可動域が増えていました。

ヘルスツーリズムとして、島外から沖永良部に来島して頂いたモニターを対象に海洋療法の医学的効果について検証しました。海洋療法利用前後で、短時間の自律神経の刺激を反映する唾液中α-アミラーゼが上昇し自律神経の活発化や、ストレスの軽減を意味する唾液中コルチゾールの低下が認められた人が多かったことや、ストレス持続によるコルチゾールの異常低値が正常に近づいた人が認められました。個人差もあり、単純に結論は出せませんが、ストレスに対しても好ましい効果が期待できそうです。また、この効果は、仕事から離れたこと、島に来たこと、タラソを利用したことが合わさり、複合的に得られた可能性が高く、海洋療法を含めたアイランド・テラピーの効果と捉えることもできます。

海洋療法は生活習慣病予防や健康増進を、楽しく効果的に後押しするために有用な方法の1つです。さらに、海洋療法を活用したヘルスツーリズムが、心理的ストレス軽減効果を持つことも示されたことより、食や文化などとも組み合わせ、多様なヘルスツーリズムへの発展が期待されます。